「血液透析」について
私は「慢性腎臓病(CKD)」のステージ5の判定を受けていて、この状態を「末期腎不全」(詳しくは「腎不全について」をご覧ください)といいます。
残念ながら「末期腎不全」になってしまうと、現在の医療では正常な腎臓に回復することはできません。
治療方法は「腎臓移植」か「透析療法」かのどちらかを選択することになります。
※詳しくは「末期腎不全の治療法について」をご覧ください。
そして日本で最も多い「末期腎不全」の治療法が「透析療法」です。
「末期腎不全の治療法」についてでも書いていますが、「透析療法」には以下の2つがあります。
私が行っているのは「血液透析」で、日本では圧倒的に多い治療方法です。
では「血液透析」について、もう少し詳しく書いていきたいと思います。
「血液透析」は簡単にいうと、老廃物がたまった自分の体内の血液を一度体外に出して「人工的な腎臓」にきれいにしてもらい、きれいになった血液をもう一度体内に戻すという方法です。
具体的には以下の流れで行います。
- ①シャントから血液を体外に取り出す
シャントに刺した針から、ポンプを使って老廃物で汚れた血液を体外に取り出す
- ➁ダイアライザで毒素を除去する
「ダイアライザ」という透析器で血液の毒素などを除去する
- ③きれいな血液を体内に戻す
老廃物・余分な水分・塩分などを除去したきれいな血液を再度体内に戻す
「血液透析」では1分間に約150~300mlの血液をダイアライザに送り込みます。
1分間にコップ1杯もの血液を出すわけなので、太い血管が必要です。
太い血管を作るために、手首の近くの腕の動脈と静脈をつなぎ合わせます。
そうすることで、太い血管を作るのですが、これを「シャント(内シャント)」と呼びます。
「シャント」は手術で作りますが、手術後すぐに作った「シャント」を使うことはできません。
最低でも2週間から4週間経過しなくては透析に使うことができないのですが、これを「シャントを育てる」と言ったりします。
(私を担当してくれた先生はそう言ってました)
「シャント」を育てる件については、時系列の記事「シャントが育つとは?」で書きます。
「シャント」ですが、手術が必要である点以外にも、下記のようなデメリットがあります。
「シャント」は作るまでも作ってからも注意しなくていけないことがあり、何かあると再手術や、人工血管の利用が必要になります。
「シャント」については、別記事で自分の状況や感想も交えて詳しく書きたいと思います。
日本の「血液透析」は非常に優れているそうです。
お医者様方が優秀なことはもちろんですが、ダイアライザが高性能であることや、良質な水質などが素晴らしいそうで、透析を受けているものとして本当にありがたいことです。
そうはいっても「血液透析」を受けている場合、以下のような「合併症」に注意をしなくてはいけません。
また、透析を長期間おこなっている患者に生じる可能性の高い合併症として、「透析アミロイド症」があります。
「血液透析」では、血液中の老廃物を取り除きますが、実は完全にすべてを除去できるというわけではありません。
完全に除去しきれなかったたんぱく質が、アミロイドと呼ばれる繊維に変わり、それが関節や骨などに沈着することで、以下のような症状が出てしまう可能性があります。
「透析アミロイド症」の症状は、透析後10年で約3割の患者に現れ、20年以上続けると半数以上に現れるといわれているそうです。
また症状が楽になったからと言って腎臓が良くなっているわけではないので、さらに厳密な生活習慣や食生活の改善を行わないと、より感染症にかかりやすくなってしまいます。
さらに「悪性腫瘍」の発生率はふつうの人より高い傾向にあるという報告もあります。
つまり「血液透析」を受けている患者は、普通の人と同じような生活をしていてはだめで、腎臓病以外にも生活習慣病を軽減するための努力を永遠に続けていかないといけないのです。
万が一「献腎移植」のチャンスが巡ってきたとしても、節制ができなければ意味がなくなってしまいます。
生活習慣と食生活の厳密な節制を永遠に行う必要があるんです。ただし、それは健康な方にも言えることかもしれません。
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