「本格的な血液透析が始まる」話

「本格的な血液透析が始まる」話

前回は「シャント」手術を行い透析の準備をするも、それまで体がもたずに救急搬送されて「緊急透析」を行うことになったという話をしました。

本来「シャント」から透析をするには「シャント」手術の後に少し時間をかけて透析に利用できる状態にする必要があります。
これを「シャント」を育てるともいいます。(私の主治医はそう言ってました)
ちなみに「シャント」の本来の意味は以下の通りです。
※ウィキペディア様のHPより引用


シャント (shunt) とは、血液が本来通るべき血管と別のルートを流れる状態のことである。
ふつう、動脈と静脈が肺循環系や内臓を含む毛細血管を介さず直接吻合している箇所を指す。
ウィキペディア様より引用

ということで、今まで私が使っていた「シャント」は別な意味も持っている用語なので、透析で利用する「シャント」は「バスキュラーアクセス」というのが正解のようです。
一応「バスキュラーアクセス」についても記載しておきます。


血液の人工透析を行う際に、短時間で大量の血液を浄化するための血流量の豊富な血管を確保し、16G程度の留置針を毎回穿刺しなくてはならない。
そのために主に腕(利き腕ではない方)の血管に短絡路を増設することがある。
人工透析患者については単にこれを「シャント(shunt)」という場合が多い。

前腕の動脈と静脈をバイパス(側副路)するように吻合する。
これにより動脈血が静脈血管へ直接流入する(左→右シャント)ため静脈血管は次第に怒張し、穿刺しやすい静脈へのアクセスが容易になり、200 mL/min程度の体外循環血流量を十分確保する事ができる。
もともと存在する血管を作為的に吻合するため、血管の炎症や閉塞など副作用を併発することもある。
また心疾患を合併する患者には心臓への負担がかかることもあり、そのような場合はシャント(短絡)しない非シャントタイプのものも使われる。
そのためシャントという言葉は適切ではないので、血液の取り出し口という意味で「ブラッドアクセス」という言葉が用いられていたが、バスキュラーアクセス(Vascular access; VA)と言うほうが正式である。
ウィキペディア様より引用

ということで正しくは「バスキュラーアクセス」のようですが、私がお世話になっている先生方は「シャント」という言葉を使っていたので、今後もこのHPでは「シャント」でいきたいと思います。

まず「シャント」をそだてるとは何をするのかというと、弾力があるゴムのボールをとにかくニギニギします。ずっとニギニギしていると疲れてくるので、疲れたら30分位休憩して、またニギニギする・・・という感じで、とにかくずっとニギニギします。
なぜこんなことをするのかというと、ボールを握ることで血流が増加して、シャント化した静脈が太く発達するからだそうです。
ちなみにこれは透析が始まってからも毎日することが推奨されているので、今でも毎日ボールをニギニギしています。

首からの緊急透析の後、ニギニギを頑張った甲斐もあったのか、ようやく本来の「シャント」が使えるようになりました。
初めは、「シャント」に針を3〜4回刺し直しつつ使える場所を探しました。
刺しやすい血管か、血がちゃんと出るか、返血できるかなどを確かめるため、何回も場所変えたり、刺す深さを変えたりしたため、針を何度も何度も刺されて結構痛い思いをしました。

ある程度血が出るところが見つかったようで、そこから透析しましたが、最初はジンジンとした痛みがずっとありました。
「これからは、ずっとこの痛みが続くのかぁ…」と憂鬱な気持ちになりました。

実際はこの痛みは初回だけですみました。
2回目からは透析する箇所に、麻酔をかけるための「リドカインテープ」というものを透析開始の2時間前に貼ることで、痛みをだいぶ軽減できました。

ということで、毎回この痛みに耐えなくてはいけないのかと思っていた件は、大丈夫だということがわかり、少し安心しました。

その後は安定して透析を行うことができるようになり、おかげ様で退院することができました。

「血液透析」は基本的には、1回4時間の透析を週に3回行うのが一般的です。
自分は途中で少し透析する時間が変わりましたが、標準的な場合は、1週間に12時間は透析する必要があるということになります。
実際の健康な腎臓は24時間休みなしに働いているので、それでも十分ではない場合もあるそうです。

当然仕事も今まで通りとはいかなくなってしまいます。
ということで次の記事では、「血液透析」を行うためにいろいろな生活環境を変えなくてはいけなかったことを詳しく書いていきたいと思います。

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