「肉は食べてもいい? だめ?」

「肉は食べてもいい? だめ?」

透析患者ができること・できないことシリーズの2つめの話をしたいと思います。

前回は「水はどれくらい飲めるのか」を書きましたが、今回は「肉を食べても良いのか?だめなのか?」を書きます。

まず透析を受ける前の自分の食生活を正直にお話したいと思います。

自分で書いていても「これは・・・(絶句)」という食生活でしたので、皆様もやれやれと思うかもしれませんが、なにとぞおおらかなお心で、反面教師の参考としてご覧いただけるとありがたいです。

私は肉と魚のどちらかが好きかと聞かれれば、圧倒的に肉派でした。

魚が嫌いというよりは、肉をたくさん食べたいから魚のための胃のスペースがあったら肉を食べる、という考えだったと思います。
しかも肉だけを食べるわけではなく、米もしっかり食べていました。
さらに「三角食べ」は苦手で一点集中型の食べ方です。(一点集中型を「ばっかり食べ」というらしいですが、どちらが良くてどちらが悪いというのは今はないらしいです)
ただ自分の「ばっかり食べ」はかなりまずいと思います。

まず肉をおなか一杯食べ、最後によそってある分の白米を全部食べる、という感じでした。なんなら白米に塩と胡椒を振りかけて味を付けて食べきることもありました。
ちなみに野菜は罪悪感を消すためにちょっと食べて健康に気遣った気持ちになります。

今こうやって書いていると、まあ不健康だなと自分でも思います。
しかしその時の自分は、まさか自分が腎臓病になって好きなものを好きなだけ食べる生活が送れなくなるなど、つゆほども思っていませんでした。むしろ好きなものを好きなように食べるほうがストレスがなくて体に良いという謎理論まで勝手に生み出していました。

なんとこのありえない食生活を、若いころから延々と続けていて、健康診断で「要再検査」で引っかかった後でさえ、焼き肉食べ放題などに行っては「おなか一杯でもう食べられません」という位までお肉としょっぱいものと脂っこいものとデザートを食べていました。

ということでこんな不摂生な食生活を送ってきた自分ですが、ようやく本題である「血液透析」を行っている今現在「肉は食べられるのか?食べられないのか?」を書きたいと思います。

結論から言うと、適量なら食べても良いという状況です。
ではほんの少しとはどれくらいか?という話ですが、それを書く前に大前提として「腎臓病」の患者は以下の栄養素・成分を極力控えなくてはいけないということをお伝えしたいと思います。
※以下はあくまでも一般的な話で、すでに腎臓病と診断されている方は医療関係者の指示に従ってください

  • ナトリウム
    ⇒塩分を構成する成分
    体の水分量との割合が重要で、多くても少なくても体に悪影響
  • カリウム
    野菜や果物に多く含まれるミネラル
    ⇒体外にナトリウムを排出し、筋肉の収縮
    神経伝達をサポートするなど絶対に必要な栄養素
  • リン
    ⇒乳製品や小魚、食品添加物に多く含まれ、骨や歯や細胞膜となる重要な成分
    ⇒多くが尿として排出されるが過剰になると
    骨粗しょう症・心臓疾患・血管の病気などになる
  • たんぱく質
    ⇒生きるためには絶対に必要な三大栄養素のひとつ
    ⇒筋肉・臓器・髪の毛・爪などを作るために不可欠で、酵素・ホルモン・免疫物質などの機能も担う

では、透析患者はこれらをどれくらい摂取できるかというと、1日あたりの目安は体重70kgの人でいうと、
たんぱく質は63g~84g位、塩分は6g以下です。これは1日あたりの量なので1食だとこの3分の1位です。

では「肉」はこれらの制限するべき成分を含んでいるのかどうかというと、それはもうばっちりと含んでおります。
特に「たんぱく質」は肉の成分の大部分を占めているので、食べすぎてはいけないんです。

右の画像は、大体ステージ3位の患者のもので、自分はステージ5の状態ですので、もうちょっと少なめです。

目安は1食30グラム~60グラム位と言われているものの、ステージや状態により異なります。
ただし部位によってたんぱく質の量が異なるためあくまでも目安です。
※ステージや状態や体重などで個人差があるので医療関係者の指示に従ってください

同じ肉でも肉の種類や部位などで摂取可能な量に違いがあります。
腎臓病患者は、ある程度のエネルギーは取らないといけませんので、たんぱく質が少なくてエネルギーの多い部位が良いといわれています。

例えば鶏肉なら、胸肉やささみより、皮付きのもも肉や手羽先が良いです。
牛肉なら、ヒレ肉よりカルビのほうが良いです。
豚肉なら、もも肉より豚バラのほうが良いです。
といった具合に脂身がある方がたんぱく質を抑えつつエネルギーもとれるので良いとされているんです。


ということで、肉大好きの私が現在おなか一杯肉を食べられないことは、非常に残念な気持ちです。
ただ全く食べられないということではないので、そのことをポジティブに考えて、これから腎臓をいたわる気持ちやモチベーションにしていきたいと思います。

そしてまだ腎臓が健康だったころの自分には「肉をたくさん食べるありがたみを忘れずに、腹八分目でやめておきなさい。そして、好きなだけおなか一杯肉を食べるのは1週間に1回位にするように!」と伝えたいです。
聞き入れてくれるかどうかは自信がありません。

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