「水は好きなだけ飲んでも良い? だめ?」

「水は好きなだけ飲んでも良い? だめ?」

「慢性腎臓病」のステージ5患者ができることとできないことをリアルにお話します。

今回は
「水」についてをお話したいと思います。

なお「慢性腎臓病」になりたくない場合(つまり予防)と、「慢性腎臓病」になってからで、水の接種量や接種方法が異なり、個人差もあります。
すでに「慢性腎臓病」と診断された場合は担当医の指示に従って頂くようお願いいたします。

皆様は健康な大人は、1日にどれ位の水を飲んだらよいのかご存じでしょうか。

体を作る成分のうち、男性は約60%、女性は約55%は水分が占めています。


特に筋肉・脳・腸・各臓器の水分含有量は約80%と多く、反対に皮下脂肪などは水分含有量が約33%と低いです。


つまり筋肉量の少ない女性や、肥満の人は体内の水分量が低い傾向があり、高齢者も細胞の数が少なくなるため体内水分量は少ない傾向にあります。

水の含有量が少なくても別にいいんじゃないかと思うかもしれませんが、水は以下のような働きをしてくれています。

  • 溶かす
    ⇒食べたものを溶かして分解する(栄養素の吸収・分解・代謝)
  • 運搬
    ⇒血液・リンパ液(水分を多く含む)が必要な物質を運搬
    ⇒尿から不要な老廃物を排出
  • 体温調節
    ⇒水は温まりにくく、冷めにくい性質があるので、体温を一定に保つ

このように水は健康でいるために非常に重要なものだといえます。
水の1日の摂取量は、一般的には約2400ml~2500mlほどです。

  • 飲料水
    ⇒口から飲む水分:1日約1000ml
  • 食べ物の水分
    ⇒料理や食べ物の中に含まれる水分:1日約1100ml
  • 代謝水
    ⇒体内で栄養素がエネルギーになるときに生成される水:1日約300ml

口から飲む量は1000ml(1リットル)で良いのかと思うかもしれませんが、そうでもないようです。
ちなみに、1日に排出している水分は約2400mlです。

  • 尿
    ⇒1日約500ml
  • 便
    ⇒1日約100ml
  • 呼気
    ⇒1日約300ml

  • ⇒1日約500ml

では1日に食事以外の飲み水をどれくらい飲むのか正解なのか、今回いろいろ調べたのですが、どうもはっきりした数字は示されていないようです。
特に日本人の食事は水分が多めで、世界的な研究の結果だけでは測れず、性別・年齢・体の大きさ・職業や活動生活によっても異なります。
それらも考慮した飲料水の摂取は、1.5~2リットル程度が一般的な数字のようです。

水には体の機能を正常に行うための重要な役割はもちろんですが、他にも「やせ体質にする」「血液サラサラ効果」「満腹感の手助け」「肌のうるおいを保つ」などとても良い効果があると言われていますので、水を飲むことが良いことだというのは間違いないと思います。

前置きが長くなりましたが「慢性腎臓病」のステージ5患者の場合、水を好きなだけ飲んでも良いのか?についてお話します。
結論からいうと「慢性腎臓病」のステージ5患者の場合は水を好きなだけ飲むことはできません。
水を飲む量を制限する「飲水制限」が必要なんです。

「慢性腎臓病」が進行すると尿の量が減ります。
そのため水をたくさん飲むとそのまま体重増加となるうえ、水分のとり過ぎは、むくみ・体重増加・呼吸困難・血圧上昇などにつながり、高血圧・心不全・肺水腫などの原因になります。

自分の場合は、透析を始めたころはまだ体が尿を作ろうとするので、1日1000mlくらいであれば飲水OKでした。
透析を繰り返すと、体が「透析で水分除去してくれるから尿を作らなくても大丈夫」と認識して、尿を作ろうとしなくなります。
こうなると1日500ml~750mlなどの飲水制限が必要になってきます。

尿の量が飲める水の量ということになりますので、尿量は把握する必要があります。
私は定期的に尿量の計測をして把握しています。
計測日は尿を取るための紙コップを使って、24時間の尿を保存容器に溜めて尿量を把握しています。

水を飲めないなんて、のどが渇いて苦しくないのか?と思うかもしれませんが、塩分を控えているので喉が渇いてどうしようもないということはありません。
私は喉が乾いたらカップに100mlだけ入れて飲むといったように小分けにして飲んだり、3時間に1回などと時間を空けるようにするなどの工夫をしています。

ということでここまで「水」についてお話してきましたが、健康な方は十分に水を飲む(飲みすぎはダメだと思いますが)ようにして頂きたいと思います。
食事は1週間位取らなくても生きていられることもあるそうですが、水は2~3日取らないと死に至るといわれていますので、それぐらい重要なものということですよね。

そして最後に。元気なころの自分に助言をするならば「甘い飲み物で喉の渇きを潤すのはやめなさい」と伝えたいです。
聞き入れてくれるかどうかは自信がありません。

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